警察犬日記 8

私達は、訓練していて、びっくりするような賢い犬にめぐり合うことがあります。

理解力が早く次から次へと新しいことを吸収して覚えていきます。

訓練することも楽しいですが、その血筋を残しておきたいとも思ったりするわけです。

そんな時、繁殖を考えて実行することもあります。

繁殖はせめて2.3回はシーズンが終わってから、二歳か三歳で一回目の出産をさせるのが望ましいことです。その間、じっくりと懸け合せるオスを選びます。性格や配色や能力や色々見極めながら決めることになります。

一般に犬を飼っている方から飼っている愛犬の子供がほしいと依頼を受けることがありますが、話をしていて困惑することがたびたびです。つまりオスを飼っていてその子供が欲しいと言われるのです。

それはとても難しいことです。犬の場合、選択権はメス側にあります。メス犬を所有している場合は極端なことを言えばどんなオスでも選んでかけてもらうことが可能ですが、オスを飼っている場合お嫁さんを自由に選ぶことはほとんど不可能です。どうしてもの時は、気にいったメス犬を飼って自家繁殖を行うこと意外にありません。

なぜなら出産の時は全てメス側の負担となるからです。

出産はやはりどんなトラブルがあるかわからない大変な作業です。初めての出産だとなおさらです。最初のうちはおっぱいだけなので、そんなに手がかかるわけではありませんが、直ぐに離乳食の時期になり、動けるようになると、おしっこ・うんこの始末や健康管理など、見ていて飽きない時間ですが、それだけに大変な時が続きます。

そして、一番大変な飼い主をみつける仕事があります。多くの場合は、全部の子犬を飼い主がそのまま飼いつづける事はできないので、飼ってくれる人を探すことになります。

生んだ頭数が多ければ多いほど沢山の人を見つけなくてはなりません。

ワクチンの接種も終わり新しい飼い主さんに渡しても、行ったばかりの子犬は食事を食べにくかったり、寂しがって泣いたりと落ち着くまで時間を要します。

その間、電話による相談にのる事や場合いによっては、様子を見に行くことも必要になります。

そして、忘れてはならない大事なことに出産が終わった母犬の体調のメンテナンスがあります。そういった諸々のことが全てメス犬を飼っている方の負担となります。