警察犬日記 7


訓練士の仕事は訓練以外にも、体調管理として毛の手入れをしたりシャンプーをしたり、体調の悪い犬を獣医さんに連れて行ったり、その事をオーナーさんに連絡して了解を得たり、乱暴な犬が壊した犬舎や訓練道具を直したり、道具をそろえにホームセンターへ行かなければならなかったり、犬を輸送する車の掃除やメンテナンスなど雑用も山のように堆積しています。

自分の担当犬の訓練はもとより、若いスタッフの訓練も指導しなくてはいけません。昔のように、みて覚えろではなかなか身につかず、覚える気にもならないので根気よく教えることも必要になります。

その間にも、訓練依頼の電話や問い合わせの電話、と思えば、まれにはテレビや取材の問い合わせなど、ほんとに体がいくつあっても足りないと思う時があります。それ以外にも訓練実演があったり、卒業した犬のアフターケアに行ったりと毎日があっという間で、時間は風のように過ぎていきます。

週末には、どこかで訓練の大会や展覧会などあり、出場する犬を車に積んで西や東に走ります。
開始が八時でも、練習や場慣らしなどゆとりを持って一時間前に着くことを考えると五時出発など当たり前で、結果が悪いと疲れもどっと押し寄せます。

月末になると、卒業する犬の卒業試験があります。なるべく良い成績で通過できるよう日頃の扱いで手抜きは出来ません。ひとつ終わってやれやれと思っても、ほっとする間もなく次の事が頭の中で回っています。毎日すべきことの優先順位を考えながら、さまざまなことをしなくてはいけません。
おおむね訓練士は年齢より若く見えるのもこういった忙しさと適度な運動がなせる業のような気がします。

同じ仕事を同じようにするのではなく、色々なことをする楽しさと、それに伴う苦労があります。
卒業時にオーナーさんに訓練のやり方を教えるのもその一つで、訓練はご自身で犬を扱う時にこそ、その真価を発揮するので、ぜひきっちり覚えて役立ててほしいと思います。