警察犬日記 1


警察犬とひとくちに言っても、内容は多岐にわたりさまざまな仕事があります。

まず警察犬は、直轄警察犬と嘱託警察犬に分かれています。直轄警察犬は警察が直接管理、飼育、訓練している犬のことです。嘱託警察犬は一般の人が飼育している犬の中で嘱託警察犬の採用試験に合格した犬のことです。

採用試験は年に一度で、受験資格も各都道府県によってさまざまです。主に鼻の性能を審査しますが、それだけではなく犬の性格や服従性を判断基準にするところもあります。

ほとんどの都道府県ではジャーマンシェパード、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ラフコリー、ボクサー、エアデールテリア、ドーベルマン種の犬に限られています。
が、今年度、和歌山県ではミニチュアシュナウザーが嘱託警察犬の認定を受け話題になりました。

警察犬の認定を受けると、警察の養成があるときに訓練をした訓練士と一緒に出動するということになります。
テレビなどでは、事件の時に犯人を追いかけるシーンで警察犬が登場しますが、それ以外の色々な場でさまざまな仕事をしています。
行方不明者の捜索活動、空港や駅の警備、植樹祭や万博などイベント会場での警備、警察の広報活動のお手伝い。警察犬が現場にいることによって犯罪抑止力にもつながっています。
得意の鼻を使った遺留品から犯人を探しあてるといった本格的なものもあります。

かなり昔のことですが、先輩からの話しで、放火現場に落ちていた手ぬぐいから容疑者を特定してほしいとの依頼があり、警察署において選別訓練を行い、その後所長室で世間話をしていると、「容疑者が観念して自供を始めました」といったような場面に遭遇したこともありました。

犬の嗅覚は人間の100万倍ともいわれ、それは訓練することによって性能を引き出したり、高めたりすることが可能です。訓練するほうも匂いという目に見えないことを教えていくので、細心の注意が必要です。
つまり、犬の動作やちょっとした変化を見逃さずに教えていくことが必要になります。
ですから、何十年訓練しても新しい発見や出会いもあり、また、犬の性格も個々違っていますのでその犬に合った訓練方法をすることがとても重要なポイントになります。

自然の中で風の匂いや空の動きを感じながら、一頭一頭、相手の反応をみながら訓練をしていくのは、非常に手間のかかることですが、理解してくれたときには、言葉では言い尽くせない喜びがあります。